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Image by Dmytro Tolokonov

​ホルミシスとは

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放射線ホルミシスとは?

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ホルミシスとは、ある物質が高濃度あるいは大量に用いられた場合には有害であるのに、低濃度あるいは微量に用いられれば逆に有益な作用をもたらす現象を示す言葉です。ここでいうホルミシスとは、放射線ホルミシスのことです。低線量の放射線を使用することにより人間に有益な作用を起こすもので、低線量放射線(または低放射線ホルミシス)ともいいます。

放射線は大量に浴びると放射線障害を起こすなど体に害があり、ひどい場合は死に至ります。ただ、この地上には自然放射線が満ちあふれており、私たちはいつも微量の放射線を浴びています。そしてどうやら、自然放射線の10倍から100倍くらいの放射線を浴びると体や健康にさまざまなよいことが起こるということがわかってきています。

体によいことが起こるのは、低線量放射線に活性酸素を抑制する効果があるためです。

活性酸素は、生命を維持するためになくてはならないものですが、同時にさまざまな病気を引き起こし、老化を促進する原因ともなります。低線量の放射線には、ビタミンCやビタミンEの摂取による抗酸化作用とはケタ違いの働きがあります。放射線は細胞の大部分を占める水分を電離させて一時的に大量の活性酸素を発生させ、体内の抗酸化の仕組みのスイッチを入れて活性酸素を打ち消してしまうのです。

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ラジウム温泉は放射線ホルミシスだった!

放射線ホルミシス療法が臨床現場で注目されるようになったのは、ここ4、5年のことです。しかしこの療法は、はるか昔から世界各地で行われていました。

 オーストリア・バドガシュタインのハイルシュトレーン(治療用坑道)は、銀鉱山の廃坑を利用したラドン浴療法です。坑道内のラドン含有量は4万4000ベクレル(Bq/m³)、温度38~42度、湿度は70~100%にも達します。その治療効果はインスブルック大学とザルツブルグ大学の共同研究でも証明され、医療保険も適応されています。

 適応症としては、強直性脊椎炎、慢性関節リウマチ、関節症、乾癬性関節炎、脊髄症候群、繊維筋痛症、骨粗鬆症、神経痛、末梢神経障害、スポーツによる怪我の治療、サルコドーシスなどの運動器官系障害、慢性気管支炎、気管支喘息、慢性副鼻腔炎、花粉症などの呼吸器系疾患、尋常性乾癬、神経皮膚炎、硬化症など多岐にわたります。オーストリアはもとより欧州各地から患者が押しかけ、放射線ホルミシス治療のメッカとなっています。

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日本の代表的なラジウム温泉

秋田県 玉川温泉

わが国でも、ラジウム温泉によるホルミシス療法が行われてきました。

温泉法では、1㎏中のラドンの含有量が100億分の20キューリー単位以上、あるいは1㎏中のラジウム塩の含有量が1億分の1㎎以上を放射能泉の基準としています。

 日本の代表的なラジウム温泉には玉川温泉(秋田)、三朝温(鳥取)、増富温泉(山梨)、奈女沢温泉(群馬)、湯の島温泉(岐阜)、栃尾又温泉(新潟)、関金温泉(鳥取)、栗本温泉(岐阜)などがあります。

そして、これらのラジウム温泉の中でも最も有名な温泉が秋田県仙北市にある玉川温泉です。

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極めて低い三朝温泉の住民の死亡率

ラッキー論文に刺激を受けた日本の服部禎男博士を中心とする研究者たちは、専門家による研究委員会を立ち上げ、各地の国立大学医学部などを先頭に、10年以上にわたって低線量放射線の人体に及ぼす影響の研究や動物実験を行っています。

例えば、我が国屈指のラドン温泉として名高い鳥取県の三朝温泉は、ウラン鉱山で知られる人形峠の地下水が湧き出したものといわれており、高濃度のラドンを含む放射能泉です。屋外で観測されるラドン濃度も26ベクレル/㎥と、周辺地域の11ベクレル/㎥と比べてかなり高濃度です。

水

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数々の実験で実証された

ホルミシス効果

研究員

低線量放射線が生体に及ぼす作用のうち、特に重要なのは活性酸素の抑制効果です。

細胞内に運ばれた酸素から発生する活性酸素は、細胞や組織を傷つけるため、近年ではさまざまな病気や老化の原因となるということが明らかになっています。多くの研究成果から、低線量放射線には、この諸悪の根源とも言える活性酸素を抑制する効果があることがわかってきています。

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「夢の治療法」として期待される放射線ホルミシス

このような数多くの実験結果から、低線量放射線が、SODやGPxなどの活性酸素抑制酵素の増加、細胞のDNA修復力の向上、免疫バランスの向上、がん抑制遺伝子p53の活性化、細胞膜流動性の向上、血液中の各種ホルモン分泌の増加、血中コレステロール値の減少、過酸化脂質の減少…など、さまざまな効果をもたらすことが明らかになりました。

今や、国内外で3000を超える研究論文によって、放射線ホルミシスの効果は証明されています。3000という数字はともかく、基礎的な実験は既に十分に行われたと言っていいでしょう。

DNA

活性酸素はDNAを傷つけ、さまざまな病気や老化の元凶とされていますが、これを抑えるには細胞中の活性酸素抑制酵素を増やさなければなりません。このため、これまでは薬品を血液を通じて細胞内に送り込むことで細胞中の活性酸素抑制酵素を増やそうとしてきました。しかし、現実には薬品が細胞を取り囲む細胞膜に阻まれてしまい、容易に細胞内に入り込むことができなかったのです。このため、これまで薬による抗酸化酵素の増大は、最高の効果を持つものでもわずか数%に留まっていました。

一方、これまでご紹介した実験では、微量の放射線を照射することで、抗酸化酵素の発生を50%もアップすることができるという結果が出ています。これは医療の専門家から見ると、歴史を変えるようなできごとなのです。

放射線ホルミシスはまさに「夢の治療法」と言えるでしょう。ホルミシス臨床研究会の服部博士は言います。「普通の薬品がピストルだとしたら、放射線ホルミシスはバズーカ砲だ」と。

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